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スタジオマーティ講師留学校・バレエ団紹介


スタジオマーティグループ講師留学校・バレエ団をより詳細にご紹介いたします。

▼ Photos

 

合田 紗希 Saki Goda


 

Teatrul National Opera si Balet Oleg Danovski Constanta(ルーマニア)所属

以前の所属先 South Bohemian Theater(チェコ)、スターダンサーズバレエ団他

 


私は2013年よりルーマニアのTeatrul National Opera si Balet Oleg Danovski Constantaに所
属しています。黒海のある街、コンスタンツァにある国立のバレエ団です。今回はカンパニーの紹
介と私がここで踊ることになった経緯を書かせて頂きたいと思います。

 

 

 

 こちらのバレエ団にはビデオオーディションで合格しました。以前はポルトガルのマデイラ島でバ
レエ教師、ダンサーとして活動していたのですが、オーディションに行く時間が取れずこのような
形になりました。送らせて頂いた内容は、バーレッスン、センター、ポアントワーク、舞台でのく
るみ割り人形のパドドゥの映像です。
そして1度もその場所を訪ねることなく、シーズンが始まる9月に初めてコンスタンツァへ行くこ
とになりました。そのことに少し不安はありましたが、新しい場所でその土地のバレエに触れる
事を思うと、好奇心の方が強く迷いなく行くことに決めました。
到着してみると、黒海が身近にありとても開放的な街の雰囲気にすぐに魅せられました。

 

 

到着して1週間後にはドンキホーテの舞台があり、すぐに2幕の夢の場のコールドとして出演する
ことになりました。
以前日本のバレエ団に所属していたときは長い時間を掛けて1つの演目を練習していましたが、こ
のバレエ団では既存の演目の場合は1週間~2週間ほどの練習で本番を迎えることが多くありま
す。スケジュールも流動的で、1年間の計画などは発表されません。来月の演目は前の月の終わり
頃にわかるということもよくあります。
ルーマニア人はラテン系の民族なこともあってか、計画性よりその時々の感覚を大事にしている
ように感じます。それは彼らの踊りにも現れていると思います。そういう意味ではどんな変化にも
対応できるような、柔軟性がある方がこのバレエ団で働きやすいかもしれません。

 

 

この劇場で踊っていて驚いた事は、観客の素晴らしさです。熱狂的ともいえる盛り上がり方をする
ことが多く、その拍手、歓声の大きさにはいつも驚かされパワーを感じます。普段は街中心部に
ある劇場で踊っていますが、何度か野外公演も経験しました。白鳥の湖の野外公演が郊外で行わ
れた際には多くの人々が足を運んでくれ、その公演はテレビでも中継されました。
下記の写真は街中でのドンキホーテの野外公演の際の写真です。この国の人々の劇場文化への関
心の高さをいつも感じます。バレエやオペラが人々の日常の一部にあります。

 

 

1日のスケジュールとしては、朝に男女のクラス、または男女別にバレエクラスがあり、その後リ
ハーサルがあります。週末に舞台があり、舞台の日は公演前のウォーミングアップ時間まで自由で
す。演目は主にクラシックバレエや創作バレエで、オペラやミュージカルの演目に出演することも
あります。テクニックが強いダンサーや、身体が美しいダンサー、それぞれ得意分野が違う個性
的なダンサーが多い印象です。団員数はおよそ40名で、ルーマニア人の他に多くの外国人も在籍
しており国際的な雰囲気があります。

 

 

 

このバレエ団では年に1度クリスマスシーズンにドイツツアーがあります。およそ1ヶ月のツアー
でドイツの南西部を中心に公演をしながら廻ります。夜行電車でルーマニアから向かったことも
ありました。ほぼ毎日場所を変えて公演があるため肉体的にも精神的にも疲れるのですが、ドイ
ツのお客さんはいつも温かく、色々な劇場で公演ができる事は大きな喜びでした。

 

 

 

 ルーマニアは人々の温かさ、観劇に対する強い関心、素朴な食べ物の美味しさなど、文化や土壌
がとても豊かな国です。このような劇場文化が豊かな国でバレエに携われている事は、私の大き
な財産になるだろうと感じています。

 

 

 

Photo by Corina Radu,Adrian Mergiani,Saki Goda